「信州往復きっぷ」と「信州しなの回数券」で特急しなのに乗車

2022/07/03

今回はJR東日本のお得なきっぷ「信州往復きっぷ」と「信州しなの回数券」を利用して日帰りの旅行をしました。

 

今回使用した切符

今回は以下の2枚の切符を使用しました。

  • 信州往復きっぷ(塩尻⇔長野は¥1,980)
  • 信州しなの回数券(ばら売り¥590)

この項では上記2つの切符の入手方法と、効力および価格について解説します。

 

信州往復きっぷ

信州往復きっぷは、松本-塩尻の区間にある駅と、岡谷駅および辰野駅で購入できます。これらの駅と長野駅を往復できる切符で、往路の切符と復路の切符が2枚1セットで売られています。

この信州往復きっぷは、駅の営業時間内ならいつでも購入できます。利用日は購入時に選択する仕様となっていて、当日から翌月の同日まで選択できます。
帰りの切符は行きの翌日に使うことも可能で、2日かけて往復してもかまいません*1

なお、この切符は特急にも利用可能。別料金で特急券を買うことで、特急に乗車できます*2

 

価格は乗降する駅によって異なります。詳細はJR東日本のサイトの当該ページを参照してください。

ぱっと見たところ、松本⇔長野がいちばん割引率が高くてお得だと思います。

いずれの駅でも同区間をふつうに買うより数百円も安いため、非常に有用な切符です。

今回買ったのは塩尻⇔長野。価格は往復¥1,980

同区間の乗車券をふつうに買うと片道¥1,340かかります。差し引きで¥700お得

これだけでも充分に有能なのですが、今回はもうひとつ有用な切符を併用し、究極のコストパフォーマンスを発揮させたいと思います。

 

信州しなの回数券

信州しなの回数券(4枚つづり)は、JR東日本の長野県内の駅で買えるようです。が、今回は別の場所で購入します。

この切符は特急しなのの長野-塩尻の区間の回数券が4枚セットになったもの。上り下りどちらでも使用でき、篠ノ井や松本で乗り降りしてもかまいません。自由席だけでなく、空いていれば指定席にも座れます。

有効期限は1ヶ月。

 

価格は4枚で¥2,080(1枚あたり¥520)

ちなみに長野-塩尻の特急券自由席は¥1,200。1枚あたり¥520は半額以下の安さであり、4枚のうち2枚を使えればいちおう元が取れます

とはいえ、1枚だけ欲しい人もいると思われます。それに、1ヶ月で4枚も使い切れないという人も少なくないでしょう。

そういうわけで今回は、長野駅前の某所にある金券ショップの自販機で、ばら売り(1枚¥590)のものを買いました。

ふつうに買うより少し割高ですが、それを差し引いても有用です。

なお、今回入手した券面は、上記の画像のようにオレンジ色のものでした。指定席券売機などから出てくる青緑色で横長の券面のものを想定していたため、ちょっと面食らいました。

 

この信州しなの回数券と前述の信州往復きっぷを組合わせることで、片道¥2,540する特急しなの(長野-塩尻)を、¥1,570で利用できてしまいます。

今回の旅行では、これら2枚の格安切符を併用した強烈なコンボを実践してみます。

 

旅行記

今回の旅行の起点は塩尻駅。

指定席券売機で信州往復きっぷ(¥1,980)を購入して改札を通ります。

 

往路は特急しなのを利用しません

なぜかというと、塩尻→長野の便は朝の時間帯のみ快速が走っていて、所要時間は特急しなのと10~15分くらいしか差がない*3ためです。

 

07:54塩尻発の快速に乗車。

塩尻→明科は各駅停車で、それ以降は主要な駅のみ停まります。

篠ノ井線は姨捨駅のスイッチバックが名物ですが、この列車はスルーします。この区間を何度も乗っている人にとって、スイッチバックはうっとうしいだけだと思うので、姨捨駅をスルーしてくれるのは嬉しいです。

 

今回乗った車両は、車内の半分が対面式クロスシート(固定型)になったものでした。

下り線(長野行き)の場合、進行方向右の席に座ると、姨捨駅近辺で善光寺平が一望できます。写真は復路の項で掲載します。

 

09:11長野駅到着。

まずは金券ショップに寄り、帰りに使う信州しなの回数券のばら売り(¥590)を購入。

 

なにか軽食を摂りたかったため、改札を出てすぐのところにある立ち食いそば屋に寄りました。

長野駅には立ち食いそばが何件かありますが、ここがいちばんアクセスの良い店ではないでしょうか。立地がいい反面テナントの家賃が高いのか、座って食べられる席はありませんでした。また、同駅の他店とくらべてメニューやトッピングの種類が少なめ。

 

今回は善光寺の七社参りをします。善光寺七社については当該記事を参照してください。

まず1社目は、長野駅にもっとも近い柳原神社

神社本殿で瓦屋根はちょっとめずらしいです。

 

2社目。駅の南にある木留神社

拝殿にあがって奥を覗き込むと、流造の本殿があります。

 

3社目。長野県庁の裏手にある妻科神社

市内の地価の話題でよく出てくる一等地。七社のなかでも際立って立派です。

 

4社目。信大教育学部の近くにある加茂神社

3年前(2019年9月)に来たときは拝殿が茅葺だったはずですが、銅板葺になっていました。ちょっと残念。

 

5社目。加茂神社から東へ進み、表参道を横切った先にある武井神社

真新しい白木の社殿は相変わらずで、年季の入った彫刻と調和するまで、まだ数十年かかりそうです。

 

つぎの神社は善光寺の裏にあるため、善光寺境内を縦断して行きます。

御開帳は先週おわったはずですが、本堂の前の回向柱はまだ撤去されていませんでした。

紐がついていないため堂内の本尊とはつながっておらず、すなわちこの回向柱は御利益もなにもないただの棒ということになると思うのですが、ありがたそうになでる観光客が絶えません。「イワシの頭も信心から」というやつです。

 

6社目。善光寺の観光駐車場の近くにある湯福神社

本殿の側面には力神の彫刻があります。七社のなかでもとくに見応えのある社殿。

 

ちょっと寄り道して城山動物園

無料で入れる動物園なので、長野市に住んでいたときはよく親と遊びに来たものです。20年ぶりに来ましたが、あまり変わっていません。

茶臼山や須坂の動物園とくらべるとさすがに見劣りするものの、それでも無料でアシカやペンギンを見せてくれるのは太っ腹。昭和に作られた市営の施設だからか、お役所仕事的で商売気がないのも魅力。遠方の観光客ではなく、市民のための憩いのスポットといったところ。

 

寄り道はそこそこにして、つぎは建御名方富命彦神別神社(たけみなかたとみのみこと ひこかみわけ-)。

社名が長いうえ、こちらは善光寺七社ではありません。いちおう式内論社*4です。

 

境内付近から東の方角を見下ろした図。

長野市街は、長野駅から善光寺にかけて緩い坂が長々と続く地形となっています*5が、善光寺の北東は断崖のような地形で、これだけの高低差があります。

 

7社目。城山から急な坂を下り、長野電鉄線に沿って行くと美和神社

3つの鳥居がつながった「三輪鳥居」が特徴的。奈良県桜井市の大神神社(おおみわ-)にも同様の鳥居があり、おそらくそちらが美和神社の本社だと思われます。

 

これにて七社参りは終了。

長野駅まで歩くのも面倒だし、神社のはす向かいに本郷駅があるため、地下鉄(長野電鉄線)で帰りたいと思います。

ここではICカードが使えないため、ホームの券売機で本郷→長野の乗車券(¥190)を購入。

 

地下鉄とは言いましたが、じっさいに地下を走るのは本郷-善光寺下の中間から長野駅までの約2kmです。

松本市民に「こんなの地下鉄じゃない」「Suicaが使える松本駅のほうが都会ずら」って言われそう*6

 

14:23本郷発の普通列車に乗車、14:30長野駅(長野電鉄)に到着。

長野電鉄線の地下ホームは2面3線。ほかの路線とは接続しないため、線路が行き止まりになっています。これはいちおう櫛形ホームと言っていいのかな・・・?

 

長野電鉄とJRのホームのあいだの移動は100メートルくらい歩きますが、通路があるため雨や日差しに当たらずに移動できます。

 

15:00長野発の特急しなの18号に乗車。

少し混んでいましたが、自由席の窓際、それも進行方向左手を確保できました。

なお、信州しなの回数券の「空席の指定席に座ってもいい」という仕様を完全に失念していて、この記事を書いているときにようやく思い出したのは秘密です。

 

車内改札で信州往復きっぷと信州しなの回数券を提示。切符の説明文や規約でも認められている使いかたなので、問題なくスムーズに改札をパスできます。

ほかの乗客が車内で特急券の料金をはらったり、通常の切符を提示したりする様を見ると、情報強者になった気分でなんとなく優越感が湧きます*7

 

長野→松本の区間(上り線)に乗るとき、進行方向左手の席に座ると、姨捨駅のあたりでこのような景色が見られます*8

手前と右奥は千曲市街、左のかなり奥のほうが長野市街。盆地の中央を流れる大きな川は千曲川。

「日本三大車窓」のひとつに数えられる*9らしいです。夜景もなかなか良いのですが、私は夜よりも昼の景色のほうが、奥深さと広大さが感じられて好きです。

 

16:03、定刻より1分ほど遅れて塩尻に到着。

特急しなのとの離合や緩急接続のため、2本の普通列車がホームで待機しています。

ここから先、塩尻-名古屋の区間はJR東海の管轄だからか、運転士が交代していました*10

 

これにて今回の旅行は終了。

交通費の総額は、¥2,760でした。

 

所感

今回の旅行の感想と改善点を列挙します。

  • 下り線の塩尻→長野は、特急なみに速い便があり、かなり有用。
  • 信州往復きっぷの有用さは、もはや説明不要。
  • 信州しなの回数券がほしいが4枚も要らない場合、長野駅の金券ショップが有用。
  • 次に信州しなの回数券を使うときは、空席の指定席に座れることを忘れないようにしたい。
  • 姨捨の展望を楽しむには、上り(名古屋行き)は左手、下り(長野行き)は右手に座るとよい。なお、反対側に座ると、姨捨駅のスイッチバックが観察できる。

 

以上、塩尻⇔長野の日帰り旅行でした。

*1:もちろん1日で往復してもよい。

*2:基本的に特急しなのに乗ることになる。松本-塩尻-岡谷は特急あずさがあるが、このような短区間では使いづらいと思う。

*3:同区間の所要時間は、特急しなのが1時間5分程度、快速が1時間15分程度

*4:平安時代の書物『延喜式』に記載された神社ではないか、と考えられている1社のこと。

*5:これを「長野」の地名の由来とする説がある。

*6:長野市と松本市の友好関係を知らない人は、「長野松本論争」などのワードで検索してください。

*7:「空席の指定席に座ってもいい」という仕様を忘れて混んでいる自由席に座るあたり、情報弱者どころか白痴と言って差し支えないだろう。

*8:特急しなのに限らず、快速や普通列車でも同様。

*9:あとの2つは、根室本線の狩勝峠と、薩肥線の矢岳越え。

*10:特急しなのの長野-名古屋は片道3時間ほどかかるため、運転士の疲れにも配慮したのかもしれない。