「中央線週末フリー乗車券」で日帰り旅行(岡谷⇔下総中山)

今回はJR東日本の企画乗車券「中央線週末フリー乗車券」を使って日帰り旅行をしました。

 

中央線週末フリー乗車券とは

中央線週末フリー乗車券は、発着駅⇔東京都内の駅の乗車券(往復)と、東京フリーエリア内のフリーパスがセットになった切符です。特急券はついていません*1

有効期限は2日間。日帰りで1日だけ使用してもかまいません。

 

発着駅は、中央本線の塩山-信濃大町*2の区間の駅が対象です。代表的な駅を挙げると、甲府、塩尻、松本があります。

また、東京フリーエリア内では、何度でも改札を通って乗り降りすることができます。東京フリーエリアは、以下の画像のとおり。

(※画像はJR東日本の公式サイトより引用)

都内のJR線をほぼ網羅しているうえ、さいたま市、横浜市、千葉市といった大都市や、成田、鎌倉、高尾といった観光地もカバーしています。

西は高尾(特急通過駅)からフリーエリアとなっています。とはいえ、この切符を利用する人の多くは、特急で高尾駅を通過することになるでしょう。

東は取手、蘇我、そして成田まで行けます。この切符で行ける駅でいちばん遠いのが成田かと思います。南は大船や久里浜まで、北は大宮までとなっています。川越は、残念ながら追加の乗車券が要ります。

 

価格は発着駅によって異なります。詳細はJR東日本の当該ページをご参照ください。

例を挙げると、甲府は¥3,360、松本と塩尻は¥5,290、となっています。

 

利用日はおもに毎週末の土日の2日間です。ただし、祝日や繁忙期といった事情により、対象外となる日もあります。詳細は、JR東日本の当該ページで確認してください。

注意事項として、利用当日の購入は不可で、遅くとも前日のうちに買っておく必要があります

購入できる場所は、発着駅のみどりの券売機と窓口です。支払いは、クレジットカードも使えます。

 

中央線週末フリー乗車券の購入と考察

今回は旅行の前日に、岡谷駅(長野県)のみどりの券売機で購入しました。

券売機から出てくる紙類(マルス券)は4枚。行きの券が1枚、フリーパスと帰りの券が一体化したものが1枚、説明書1枚、アンケート1枚といった内訳です。クレジットカードで買った場合は、さらに利用証明書が1枚出てきます。

買ったのは辰野駅~上諏訪駅発着のもの。価格は往復¥4,880

参考として書いておくと、岡谷→東京の乗車券はふつうに買うと片道¥3,740で、中央線週末フリー乗車券は通常の35%オフになります。

 

ただし、甲府や松本から東京へ行くときは、たいてい特急に乗ることになると思います*3が、中央線週末フリー乗車券には特急券がついていません。特急券(岡谷→東京は¥2,440)は別途購入する必要があります

対して、JR東日本のえきねっとでは「特急券と乗車券のセット」を前売りで買うと「お先にトクだ値」で最大3割引になります*4

岡谷⇔東京の往復にかかる金額(乗車券と特急券の合計)を比較すると、3割引のお先にトクだ値は¥8,780(片道¥4,390)、中央線週末フリー乗車券と通常の特急券の組み合わせは¥9,760です。よって、中央線週末フリー乗車券は往復で¥980高いです。

 

では、中央線週末フリー乗車券の利点はなんなのかと言うと、以下の2点が挙げられます。

  1. フリー区間で何度でも乗り降りできる
  2. 前日に購入できる(お先にトクだ値は2週間前の予約が必要)

1.については、小刻みに乗降して何度も改札を通ったり、成田駅あたりまで行ったり、フリー区間の使いかたしだいでは中央線週末フリー乗車券のほうが安くなります。

2.については、急に東京へ行くことになった場合や、買うかどうかを前日まで検討したいときに役立ちます。観光旅行で天気が心配なとき、この仕様がありがたく思えます。

 

今回は、上記2つの利点を活かし、梅雨どきの晴れ間をねらって、市川や東京都心を観光してみました。

 

旅行記(2023/06/10)

岡谷→竜王→東京→秋葉原→下総中山

今回の旅行の発駅および着駅は岡谷駅。

最初の目的地は、千葉県の下総中山駅です。

 

予定だと06:46岡谷発の特急あずさ4号*5に乗るのですが、けさは早く起きてしまったため、予定より早い電車に乗ってみます

中央線週末フリー乗車券(行きの券)で改札を通り、上り普通列車に乗りこみました。特急に追いつかれる直前まで普通列車で行き、特急料金をけちろうという魂胆です。

 

06:16岡谷発の各停高尾行きに乗車。どの駅まで乗るかは、これから考えます。

 

乗車中に時刻表を調べた結果、韮崎で降車すればあずさ4号に緩急接続できると判りました。しかし「えきねっと」で席の予約を取ろうとしたところ、あずさ4号はほぼ満席となっていました。

べつの特急を検討した結果、07:43竜王始発の特急かいじ6号は空席が多かったため、これに乗ることにしました。東京着が20分くらい遅くなりますが、ほぼ満席のあずさ4号で行くよりは快適なはずです。

竜王→東京の特急券はえきねっとで予約すると¥1,480*6。岡谷→東京の全区間で特急を乗り通すよりも、¥960安く済みました。

 

07:29竜王着。各停の普通列車を降り、ホームで10分ほど待機します。

通過してゆくあずさ4号(ほんとうはこれに乗る予定だった)を見送ると、甲府方面からかいじ6号が入構してきました。

かいじは新宿⇔甲府*7の特急なので、私も含めて長野県民はあまり用のない列車かと思います。今回は「ふだん乗らないから」という理由もあってかいじを選んだのですが、車両も路線も兄弟分のあずさと同じで、とくに新鮮味はありません。

 

なお、あずさとかいじの多くは新宿発着ですが、今回のかいじは東京着となっていて、中央線の新宿→東京をノンストップで走り抜けます。

とくに、お茶の水-飯田橋あたりで見える神田川は、特急の車窓から眺めるとなかなか趣があります。おそらく東京住みの人にとっては見あきた景色で、よろこぶのは私のような田舎者だけかと思いますが。

 

09:42東京駅に到着。

つづいて、千葉方面の電車に乗り換えます。

10分もあれば京葉線に乗換えできるだろうと踏んでいたのですが、このときの私は、東京駅の京葉線乗りかえはかなり距離があるという事実を知りませんでした。案内に沿って京葉線ホームを目指すのですが、いっこうにたどりつけません。時計を見て「これは間に合わない」と確信し、来た道を引き返しました。

帰宅後に調べたところ、東京駅で京葉線に乗りかえるのは悪手で、適当な列車に1駅乗って、有楽町駅で乗りかえるのが最適解だったようです。

今回は下総中山へ行ければなんでもいいので、京葉線はあきらめて、京浜東北線に乗りこみ、総武線で下総中山をめざすルートを選びました。

 

京浜東北線 南浦和行きで秋葉原駅へ移動。所要時間5分くらい。

秋葉原駅にて下車し、総武線に乗り換えます。

総武線 津田沼行きに乗って25分くらいで下総中山駅に到着。

 

下総中山駅

下総中山駅の改札。

フリー区間で最初に改札を出るときは、発駅で使った中央線週末フリー乗車券(行きの券)を投入します。行きの券はこれで無効となり、回収されます。つぎに改札を通るときは、帰りの券(フリー乗車券と一体化している)を使います。

上の写真は、岡谷駅の改札で入場するときに使った行きの券の最期の姿。改札機に吸い込まれ消えていきました。

 

この記事は『「中央線週末フリー乗車券」で日帰り旅行』と銘打っていますが、いちおう今回の旅行の主目的は寺社巡りです。

まずはこの旅行の目玉として計画した中山法華経寺。上の写真は五重塔。

中山法華経寺は京成電鉄でアクセスしたほうが圧倒的に近いのですが、JR下総中山駅は約200メートル遠いだけなので、問題なく歩いて行けます。

 

中山法華経寺の見どころは、五重塔だけではありません。

本堂に相当する祖師堂の屋根は「比翼入母屋」というめずらしい建築様式で...と、講釈を垂れようとしたところ、肝心の屋根が葺き替え工事中でした。

今回のメインなのに、工事を把握できていなかったのは、完全なる調査不足です。いきなり私の計画性の無さが露見してしまいましたが、このあとも調査不足に起因する失態を繰り返すので乞うご期待。

 

下総中山→本八幡

中山法華経寺から下総中山駅に戻りました。

以降、改札を通るときは、帰りの券を使います。フリーエリア内では、帰りの券は回収されず、改札機から出てきます。

 

11:50頃の各停三鷹行きに乗車。5分くらいで本八幡に到着。

駅名の読みは「もとやわた」。車内アナウンスを聞くまで「ほんはちまん」だと思っていました。

 

つぎの寺社は葛飾八幡宮。こちらもJRより京成電鉄のほうがアクセスが良いです。

訪問時はなにかイベントがあったようで、随神門や表参道は非常に混んでいました。

葛飾というと東京都葛飾区を思い浮かべますが、ここは千葉県市川市。葛飾という地名(葛飾郡)は、現在の葛飾区から船橋市あたりを指していたようです。

 

本八幡→市川

本八幡駅に戻って改札を通り、つぎは市川に向かいます。

本八幡駅はホームが1面2線しかないシンプルな駅なのですが、まちがえて逆方向(千葉方面)の列車に乗ってしまいました。「つぎは下総中山」というアナウンスを聞いてまちがいに気づき、ついさっき利用した下総中山駅で降車。

あらためて、逆方向(東京方面)の列車に乗りました。

 

本来、このような折り返し乗車は、意図的にやる場合は往復分の運賃を払う必要があり、誤乗や乗りすごしの場合は職員に事情を説明しなくてはなりません。今回はフリー乗車券があり、フリーエリア内の駅のため、そのまま黙って折り返しても問題ないでしょう。

 

折り返し乗車で市川駅に到着。

つぎの寺社は弘法寺(ぐほうじ)。弘法大師(空海)なので真言宗と思いきや、日蓮宗のようです。

こちらも京成電鉄のほうがアクセスが良いです。JRにこだわらず京成も適宜使ったほうが、多少足が出ても効率の良い旅行にできたのでは...? と思いましたが、思い至ったのが弘法寺の帰り道で、時すでに遅しでした。

 

市川駅→御茶ノ水駅

市川駅に戻り、13:40頃の各停三鷹行きに乗車。御茶ノ水駅までの所要時間は22分。

千葉県の寺社はこれでおわりで、つぎは東京都心をまわります。

上の写真は御茶ノ水駅で、朝に特急かいじで通過した駅です。

 

御茶ノ水→御徒町を徒歩移動

御茶ノ水駅の近くには、2つの聖堂があります。

こちらは東京復活大聖堂。通称はニコライ堂。

イギリス出身のお雇い外国人コンドルによる設計。コンドルは教育者としても優れた人物で、辰野金吾*8、片山東熊*9など、近代日本を代表する建築家を育成しています。

 

聖橋という橋で川の対岸へわたると、塀に囲われた区画に湯島聖堂があります。湯島聖堂は孔子を祀った霊廟で、寺院ではありません。

現在の堂は戦前の再建で、伊東忠太による設計。伊東忠太は日本における建築史研究の創始者で、建築家としては築地本願寺の設計でも知られます。

 

そのまま御茶ノ水駅に戻るのも芸がないので、神田明神と湯島天満宮に寄りつつ、御徒町駅に移動。

 

御徒町駅→浜松町駅

御徒町駅で14:40頃の山手線外回りに乗車。浜松町駅まで12分くらい。

浜松町駅から西側へ出ようとしたところ、貿易センターみたいなビルの中を通る羽目になりました。私に土地鑑がないのが悪いのですが、駅から外へ出たいだけなのに、用のない施設の中を意味もなく歩かせるのは勘弁してほしいものです。

 

今回の最後の目的地は増上寺。徳川家の菩提寺で、都内でも随一の大寺院です。

訪問時は本堂が工事中で、周辺に近寄ることさえできませんでした。

また、境内の裏手には徳川家の墓地があるのですが、ろくに下調べせずに来たため、すでに拝観の時間を過ぎていて入場できませんでした。

 

増上寺の北側と南側には、かつて徳川家の霊廟に使われていた門が鎮座しています。

両者とも江戸時代中期の建築です。

 

浜松町駅→品川駅

浜松町駅に戻り、16:50頃の山手線外回りに乗車。品川駅まで5分程度。

 

品川→大崎を徒歩移動

この日は6月で夏至も近く、日が長いため、おまけでもう1件ほど寺社をまわることにしました。

こちらは品川神社。これから富士登山をしようと思います。

 

品川神社には、富士山を模して造られた岩山があります。高さは10メートル強。

これは富士塚といって、これに登ると本物の富士山と同等の利益が得られるとされる、なんとも虫のいい施設です。

上の写真は7合目から9合目。それぞれの合の距離は2メートル足らずです。

 

頂上からの眺望。景色はそこそこといったところ。

登頂に要した時間は3分程度で、本物の富士山に登るよりも圧倒的にタイムパフォーマンスが良いです。富士塚と富士山、どちらかに登れと言われたら、私なら確実にこの富士塚を選びます。

 

これで今回の寺社巡りは終了。来た道を引き返してもおもしろくないので、大崎駅まで歩きました。

 

大崎駅→新宿駅→岡谷駅

大崎駅で18:10頃の山手線外回りに乗車。新宿まで10分程度。

山手線に乗っているあいだ、帰りの特急の時刻を調べます。結果、19:00新宿発の特急あずさ49号に乗ることにしました。新宿→岡谷の特急券は、えきねっとで買うと¥2,450 。

 

新宿駅でいったん外に出て軽食を買おうと思ったのですが、私がよく使う新宿バスタ最寄りの改札までどう行ったらいいのか解らず、人が多すぎてめまいがしてくるので断念。人混みに疲れて、写真を撮る気にもなれませんでした。

新宿という魔境でむやみに歩きまわると遭難(乗り遅れ)しかねないため、おとなしく中央線ホームにもどってキオスクで最低限の軽食を調達しました。

 

19:00新宿発の特急あずさ49号松本行きに乗車。

 

21:28岡谷駅にて下車。

こちらは岡谷駅の改札。

中央線週末フリー乗車券(帰りの券)は、着駅の改札で回収されます。

きょう一日、何度も改札を通した中央線週末フリー乗車券(帰りの券)の出番もこれでおわりです。

これにて今回の旅行は終了。

 

運賃計算(いくら得したか)

運賃の総額

今回の旅行にかかった交通費は下記のとおり。

  • 中央線週末フリー乗車券(岡谷発着)¥4,880
  • 特急券 韮崎→東京¥1,480
  • 特急券 新宿→岡谷¥2,450

以上3点で、合計¥8,810となりました。

 

いくら得したか

乗車した区間と、通常の運賃は下記のとおり。

  • 岡谷→下総中山、¥4,070
  • 下総中山→本八幡、¥150
  • 本八幡→市川、¥150*10
  • 市川→お茶の水、¥230
  • 御徒町→浜松町、¥180
  • 浜松町→品川、¥170
  • 大崎→新宿、¥180
  • 新宿→岡谷、¥3,740

以上を合計すると、¥8,720です。中央先週末フリーパスの値段(¥4,880)を引くと、¥3,840ほど得した計算になります。

フリー区間で乗車した金額の合計は¥1,060ですが、行きの切符で乗車した秋葉原→下総中山(¥320)を加算すると¥1,380になります。考察の項目で述べたように、フリー区間で¥980ほど乗れるかどうかが「えきねっとトクだ値」との損益分岐点のひとつなので、今回は¥400くらい得したと考えていいでしょう。

 

以上、中央先週末フリー乗車券での日帰り旅行でした。

*1:別売りの特急券を買えば、中央線週末フリー乗車券で特急に乗ることもできる

*2:塩尻-松本は篠ノ井線、松本-信濃大町は大糸線だが、対象となっている。また、飯田線の辰野駅も対象に含まれている。

*3:塩山→立川(所要時間は普通列車で100分程度)くらいなら普通列車でもいいかもしれない

*4:閑散期などのキャンペーンで4割引以上になることもある

*5:松本始発の上り特急でいちばん早い便

*6:ただし韮崎→東京も同額のため、竜王よりも韮崎で特急に乗ったほうが得になる

*7:東京⇔竜王の便もある

*8:東京駅や日本銀行本店の設計者

*9:赤坂離宮の設計者

*10:誤乗で下総中山まで行って折り返したぶんは料金計算に入れていない