青空フリーパスを使い倒す 実践編(塩尻⇔米原を日帰り旅行)

2022/06/25

今回はJR東海の企画乗車券「青空フリーパス」を利用して日帰りの旅行をしました。

 

当記事では旅行の行程や様子を述べます。

料金の計算や所感などについては結果発表の記事をご参照ください。

 

事前準備:青空フリーパスの入手

前回の記事では、青空フリーパスの特徴と考察を述べました。

長野県内で青空フリーパスを買えるのは、飯田駅と木曽福島駅の2駅です*1。どちらの駅も県の南のほうにあり、塩尻や松本以北に住んでいる人が気軽に買いに行くのは難しいでしょう。

 

何かいい方法はないかと考えていた矢先、ちょうど飯田市に用事ができました。

こちらが飯田駅。

この近辺を地図で見ると飯田線が大きく蛇行していて、飯田駅はいわゆる下山ダッシュ*2の区間内にあります。

 

青空フリーパスはみどりの窓口にて購入。駅と窓口がすいていたため、かかった時間は3分くらい。

利用日は翌週の土曜日を指定。支払いはクレジットを使用。

 

駅構内には乗車券の券売機がありましたが、指定席券売機はありませんでした。指定席券売機がない駅では、青空フリーパスのような企画乗車券は窓口でしか買えません

ちなみに、飯田駅に発着する特急は伊那路(飯田-豊橋)だけですが、伊那路はいろいろとアレな特急*3なので、指定席券売機がないのは無理もないことだと思います。

 

青空フリーパスを購入すると、このような説明書が付属します。クレジットで支払った場合はこれと同じフォーマットの領収書も付いてきます。

この券は実際には使わない(改札には通さない)ですが、返金や日程変更をしたいとき必要になります。

 

旅行記

塩尻駅→名古屋駅→米原駅

今回の旅行の始点および終点は塩尻駅(長野県)。名古屋駅を経由して米原駅(滋賀県)へ行き、復路では垂井駅(岐阜県)で途中下車しようと思います。

塩尻駅はすべての特急が停車し、路線が4方向*4に分岐する駅。長野県中南部の鉄道の要衝です。

 

まずは通常の券売機で乗車券(¥330)を購入。これは塩尻→木曽平沢(青空フリーパスの区間外)の料金で、塩尻駅の改札を通ってフリー区間内に乗り入れるために必須。

そして指定席券売機で特急券(自由席¥2,200)を購入。

いきなり足が出てしまいましたが、ここで特急しなの2号に乗らないと、名古屋で乗る特別快速の便がなくなってしまい、岐阜や大垣で小刻みな乗換えを強いられ不便です。青空フリーパスは特急にも使えるため、状況によっては追加料金を払って特急に乗るという判断も重要です。

 

07:14、塩尻駅にて特急しなの2号に乗車。

この特急しなの2号は、長野発の上り特急のいちばん早い便。自由席はほぼ満席で、デッキで立っている乗客もいました。長野か篠ノ井か松本で乗る人がほとんどだと思うので、塩尻で乗って自由席に座ろうというのは無謀だったかもしれません。

こんなところで体力を使いたくないので、車掌さんに頼んで指定席を取ってもらいました。追加料金¥530

追加料金の領収書。

「追加料金を払って指定席に変更」は簡単にできますが、「自由席に変更するから指定席の差額を返してくれ」というのはできません。なので、迷ったときはとりあえず自由席を買って、混雑具合を見て指定席にするのもひとつの作戦かと思います。

 

08:18、名古屋到着。

下車すると、長野県ではあまり感じられないもわっとした暑さに包まれました。夏場に県外へ行くと、地元がいかに気候の良い土地なのかを痛感させられます。

 

09:31、特別快速 米原行きに乗車。

この特別快速は名古屋→米原*5を1時間ちょっとで移動でき、乗車券だけで乗れます。しかも座席がクロスシートで非常に快適。

名古屋-岐阜の区間は名鉄と並行・競合しているので速くて快適なのは当然ですが、そのまま米原まで行ってくれるのは嬉しいです。

 

10:40、米原駅に到着。

塩尻から名古屋駅経由で岐阜県を横断するのに3.5時間かかりました。けっこう速いです*6

 

米原駅は、滋賀県で唯一の新幹線停車駅。また、JR東海とJR西日本の境界にあたる駅のため、在来線で名古屋-京阪神を移動するときはここで乗換えとなります。

名阪の大動脈たる東海道本線の要衝のはずですが、駅前は意外と閑散としています。

 

米原駅→醒ヶ井駅を徒歩移動

「青空フリーパスを使い倒す」と銘打ってはいますが、いちおう今回の旅行の主目的は寺社巡りです。

今回は米原駅から醒ヶ井駅*7へ徒歩移動しつつ、道中の寺社に寄っていきます。この日にまわる神社はすべて式内社*8で、豪華なラインナップとなっています。

 

まずは米原駅の東の山際にある湯谷神社。

標準的な三間社流造の本殿。ほか、多数の境内社がありました。

 

つぎは坂田駅*9まで電車で行こうとしたものの、米原駅で電車を待つよりも、いまから徒歩移動したほうが早く着く模様。

そういうわけで坂田神明宮まで歩きました。

拝殿の屋根は桧皮葺。社叢の緑に映えます。

 

日撫神社。

本殿は軒唐破風と千鳥破風が連続し、重層的なファサード。

 

山津照神社。

大きな三間社流造の本殿。母屋の前方に前室が設けられ、床と縁側が一段低くなっています。これは滋賀県の神社本殿でよく見られる構造*10

 

醒ヶ井駅→垂井駅

醒ヶ井駅に到着。

上下線ともに毎時2本ほど便があります。

 

14:09、普通列車 大垣行きに乗車。

 

垂井駅に到着。こちらは岐阜県不破郡垂井町の中心駅です。

 

駅前には竹中半兵衛の像。

出身は美濃国大野郡で、垂井町は彼のゆかりの地らしいです。黒田官兵衛と対をなす軍師ですが早世していて、関ヶ原には参戦していません。

おもしろい兜をかぶっています。追い風のときは速く走れるかも? でも、突風に煽られたらむちうちになりそう・・・

 

垂井駅⇔南宮大社を徒歩移動

きょうのメインの目的地、南宮大社。

美濃国一宮で、岐阜県でもっとも格の高い神社*11。西濃を代表する名所です。

建物は江戸初期のもの。回廊に囲われた領域に社殿が並び、南宮造(なんぐうづくり)と呼ばれる独自の配置となっています。

 

南宮大社の西にある真禅院。

もとは南宮大社と一体だったようで、明治時代に切り離されて独立の寺院となっています。三重塔は南宮大社と同時期に造られたもの。

 

垂井駅に戻ったのは16:30くらい。

道中、いつの間にか靴ずれができていることに気づき、応急の手当てをしようとしたところ脚がつりました*12。夏至を過ぎたばかりのため日が高く、まだまだ途中下車して寄り道できそうですが、もう歩きたくないので帰途に就くことにしました。

 

垂井駅→名古屋駅

16:57、特別快速 豊橋行きに乗車。

往路で乗った特別快速の逆方向バージョンといった感じで、こちらもクロスシートの快適な車両でした。

 

17:42、名古屋駅に到着。

いったん改札を出て、駅地下で軽食を購入。名古屋駅は品揃えが豊富なのはいいのですが、人の流れがあまりにも激しくて酔いそうです。長居したくないので、用が済んだらすぐ駅のホームへ向かいました。

 

名古屋駅→中津川駅→塩尻駅

18:07、快速 中津川行きに乗車。

本当は18:40名古屋発の特急しなの23号に乗車したいのですが、長い待ち時間を持て余しそうだし、混んでいる名古屋駅から早く出て行きたい気分でした。なので先発の快速に乗り込んで特急停車駅で下車し、追いついた特急に乗り換える作戦を採りました。これなら特急料金も節約できます。

 

車内で時刻表を見たところ、このまま終点の中津川まで行っても問題なく乗換えできそうです。

今回乗った快速列車はロングシート車両とクロスシート車両を連結した編成。愛知県を出て多治見を過ぎるとクロスシートもほとんど空席で、なかなか快適でした。

 

19:25、中津川駅に到着。

特急しなの23号が到着するのは5分後。特急の車内で料金を払っても問題ないのですが、改札を出て特急券を買いに行きます。指定席券売機がなかったため、窓口にて購入。

中津川-塩尻の特急券は、指定席¥1,730

 

18:40に名古屋を発った特急しなの23号が、19:30中津川駅に入構。先立って名古屋を発った私に追いつきました。

じつを言うと快速に乗っているあいだ、特急しなのが次々と途中駅をとばして迫ってくる姿が脳裏に浮かび、杞憂と解っていても気が気でない思いでした・・・*13

 

19:30、特急しなの23号に乗車。

確実に座りたいので指定席を買ったものの、自由席は窓際もいくつかあいていました。なんかちょっと悔しい!

中津川-塩尻は木曽路と呼ばれる区間で、過疎地や山林がほとんど。夜は真っ暗で、車窓を楽しむのはきびしいです。

 

20:34、塩尻駅に到着。

青空フリーパスでは改札を通れないため、有人改札で乗り越し料金(¥330)を払います。

これにて半日におよぶ塩尻-米原の日帰り旅行は終了。足を軽く負傷しながらも、半日で6件の寺社をまわれました。

 

旅行の行程は以上。

青空フリーパスで乗車した金額や、実際にかかった費用については、次の記事で発表します。

*1:指定席券売機でも買えるので、未調査ですがほかにも買える駅があるかもしれません

*2:飯田線の下山村駅と伊那上郷駅のあいだは大回りな線形で、最短距離を人の足で走ったほうが早いらしい

*3:自家用車で高速道路(中央道土岐JCT経由で大回りになる)を利用するほうが早いうえ、公共交通機関なら高速バスで名古屋を経由したほうが早く豊橋に着くことが多々ある。また、沿線の大部分がJR東海でも屈指の過疎地で、秘境駅が連続する。

*4:篠ノ井線 松本長野方面、中央東線 甲府新宿方面、中央西線 木曽名古屋方面、大八回り辰野飯田線方面

*5:名古屋-岐阜のあいだの停車駅は尾張一宮のみ、岐阜以降は各駅停車になる

*6:塩尻-米原は高速道路だと小牧JCT経由で3時間

*7:岐阜名古屋方面へ1駅

*8:平安時代に書かれた『延喜式神名帳』に記載のある神社のこと。神社にとって式内社は権威あるステータスといえる。

*9:JR西日本の管轄のため青空フリーパスは使えない

*10:竜王町の苗村神社西本殿が代表的

*11:高山市に飛騨国一宮の水無神社があり、こちらも岐阜県でもっとも格式高い神社です

*12:水分補給を十分にしていても、塩分が足りないと熱中症になり、脚などがけいれんを起こすらしい

*13:時刻表を見れば間に合うのは自明なうえ、後続の特急しなのはまだ2本もあった。それでもなお焦っていたあたり、その小心ぶりがうかがえる。